都市は気候非常事態の最前線にいます。世界の人口の半分以上が住み、(温室効果ガス)排出量全体の70%を占める都市は、レジリエンス(回復力)の高い低炭素な未来への変遷に重要な役割を担っています。排出量を削減し、脆弱性を減らす行動は、気候変動対策としてのベネフィット(利益)だけでなく、都市と市民にとって複数のコベネフィット(※)を得ることができる、という考えに注目が集まっています。
(※1)コベネフィットとは、一つの政策、戦略、または行動計画の成果から生まれる、複数の分野における複数のベネフィットのこと。
ティンダル気候変動研究センター(the Tyndall Centre for Climate Change Research)と気候変動及び社会変革センター(the Centre for Climate Change and Social Transformations)との共同で作られた新しいレポートでは、気候変動対策がもたらす付加的なベネフィットに注目し、都市が、意思決定の過程で、これらをどのように活用できるかについて説明しています。
コベネフィットを促進する(気候変動に取り組み、他の優先事項も実行する)気候政策は、地元利害関係者からの支援の促進にとどまらず、意思決定者による合意や承認の可能性をも高めることができます。
コベネフィットには、より綺麗な空気、グリーンジョブの創出、活発な移動による公衆衛生の改善が含まれ、緑地の拡大によって生物多様性の支援にもつながります。
2019年、861都市がCDP-ICLEI Track(英語サイト)を通じて、気候及び環境のデータを公開しました。うち521都市(61%)が気候変動緩和のための行動をとっていると報告しており、これは73か国の推定総人口5億人、つまり世界人口の約8%にあたります。
新レポートの分析結果から以下のことも明らかになりました。
新レポートは、公開データを使用して、世界中の都市がコベネフィットを気候行動計画にどのように組み込んでいるかの現状を明らかにし、それらの都市の取り組みから学びたい他都市にとって役立つツールやリソースも紹介しています。